オーラルフレイル

加齢変化

前にフレイルについてお話をしましたが、実は口腔領域にもフレイルが存在します。それがオーラルフレイルです。オーラルフレイルに陥ると、噛む力や飲み込む力、唾液を出す能力や口腔衛生の状態が悪くなり、固いものが噛めない、飲み込み辛い、口臭が気になる、滑舌が悪いといったささいな口のトラブルが慢性的に続くようになります。このオーラルフレイルの状態が続くと、状態はさらに悪化し、咀嚼障害や嚥下障害、栄養の偏りなどを経て、全身のフレイルやサルコペニアに移行するともいわれています。オーラルフレイルはフレイルの前段階として注目を集めています。研究ではオーラルフレイルである者はそうでない者と比べて、要介護状態への移行や死亡率が2倍高いという結果も出ています。このような理由から、歯科の立場から口腔機能を通じて健康寿命の延伸に寄与すること求められています。以下にオーラルフレイルの概念図を示します。この図も国家試験的には出しやすいかなと思うので覚えるのがベストです。

出典:公益社団法人日本歯科医師会「歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版」

オーラルフレイルのチェックにはOFI-8が用いられることが多いです。
8つの質問に はい or いいえ で答え、4点以上の場合にオーラルフレイルのリスクが高いとされています。

OFI-8

1.半年前と比べて、固いものが食べにくくなった
2.お茶や汁物でむせることがある
3.義歯を使用している
4.口の渇きが気になる
5.半年前と比べて、外出の頻度が少なくなった
6.さきいか・たくあんくらいの硬さの食べ物が噛める
7.1日2回以上は歯を磨く
8.1年に1回以上は歯科医院を受診している

オーラルフレイルを理解するうえで重要なことは、口腔機能とは歯だけでなく舌や口唇などの筋肉、顎関節、唾液腺などの器官の機能も包括した概念であるという点です。当ブログの「そもそも”高齢者歯科”とは?」という記事でも記載しましたが、歯科疾患による機能の低下を治療しても、「噛めない」「食べづらい」といった問題が解決しない事例が多くあるのは、この”口腔機能の衰え”が大きく関係しています。う蝕や歯周病の予防・治療も十分大事ですが、そのうえでオーラルフレイルの予防・改善に努めるのが最重要になってきます。

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