パーキンソン病

全身疾患への対応

パーキンソン病は脳の黒質という部分が障害され、神経伝達物質である”ドパミン”が分泌されなくなる病気です。このドパミンが不足すると運動機能に影響が出ます。パーキンソン病には特徴的な徴候があります。これらの症状はパーキンソニズム(パーキンソン症状)とも呼ばれます。

【パーキンソン病の4大徴候】

  1. 振戦      :手足の震え
  2. 無動・寡動   :動作が遅くなる。動きが少なくなる。
  3. 筋強剛(筋固縮):他人が手や足の関節を動かすと抵抗を感じる
  4. 姿勢保持障害  :体のバランスがとりづらく、転びやすくなる

これらの症状により、歩行をはじめとした日常生活動作が障害されます。そしてそれは歯磨きや入れ歯の清掃といった口腔セルフケアも同様に障害されていくため、これらの症状がありながらもうまくセルフケアができる方法を模索するのも歯科衛生士の腕の見せ所ではないでしょうか。

パーキンソン病は進行性の病変です。進行自体はそれほど早くなく、かつ抗パーキンソン病薬(主にL-ドーパ)によって症状の進行が抑えられるため、臨床的な経過は長いといわれています。パーキンソン病の進行具合を表す指標としてHoehn&Yahrの分類があります。ⅠからⅤまでの5段階あり、Ⅰが軽度、Ⅴが最重度です。

Hoehn&Yahrの分類

  1. Ⅰ度:片側の手足にパーキンソニズム
  2. Ⅱ度:両側の手足にパーキンソニズム
  3. Ⅲ度:姿勢反射障害がある
  4. Ⅳ度:高度な障害があるが介助なしに歩ける
  5. Ⅴ度:立つことができず車いすやベッド上

パーキンソン病の経過は長いと説明しましたが、長くL-ドーパを服用しているとその効きが悪くなってくる現象が生じます。いくつか効かなくなるパターンがあり、On-Off現象、Wearing-Off現象などがあります。

また、パーキンソン病はドパミンの分泌が低下することから、摂食嚥下障害が生じやすい疾患でもあります。ドパミンは嚥下反射を引き起こすサブスタンスPという神経伝達物質の合成にも関係しているからです。特に、誤嚥してもむせが生じづらくなる、もしくは弱くなる不顕性誤嚥という症状が出やすいといわれています。パーキンソン病の患者さんを診る際は嚥下機能にも注意を払う必要があります。

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