介護保険法

高齢者のための社会保障制度

介護保険法は2000年に制定されました。その背景としては、高齢者の増加に伴い高齢者の介護の需要が高まったこと、高齢者の介護に関わる財源の確保が難しくなったことがあります。
介護保険法は大きく分けて以下の項目について規定されています。

①介護保険の保険料、受給権、受給に至るまでのプロセス
②高齢者施設の規定
③地域包括ケアシステム
④居宅療養管理指導

①介護保険の保険料、受給権、受給に至るまでのプロセス
介護保険法の保険者は市町村および特別区、被保険者は2種類あり、第1号保険者は65歳以上の者、第2号保険者は40歳以上65歳未満の者です。保険料は第1号保険者と第2号保険者のどちらからも徴収し、財源の50%が保険料で賄われます。残りの50%は国、都道府県、市町村の税収から賄われます。

介護保険の受給は本人もしくは家族が市町村へ申請をおこない、介護認定を受けるところから始まります。訪問調査とコンピューター審査による1次審査は認知機能やADLといった心身の状態を調査します。
1次審査を通ると主治医の意見書を基に市町村の介護認定審査会による2次審査を経て介護認定がおこなわれます。2つの審査を終えた後は要介護度が決定されます。要介護度は介護にどれだけの時間を要する状態かで5段階で評価され、支給額が決定します。この支給額の範囲内ではリハビリや介護用用品のレンタルなどが原則自己負担1割(所得によって変動)で利用できます。支給の限度額を超えると超えた分は全額自己負担となります。介護サービスは介護支援専門員(ケアマネジャー)がどのサービスを受けるか計画(ケアプランの作成)してくれるのが主ですが、被保険者自身がどのサービスを受けるか決めることもできます。一方で介護には至らないが予防的な支援が必要と判断された場合は要支援の認定がおこなわれ、介護予防サービスを受けることができます。

②高齢者施設の規定
介護保険法で規定される施設は以下の通り。

・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設
・介護医療院
・介護療養型医療施設(2023年までに介護医療院へ移行)

③地域包括ケアシステム
介護保険法では国および地方公共団体の責務について、介護保険の被保険者が可能な限り住み慣れた地域でそれぞれの人の能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように保健医療サービスや福祉サービスに関する施策などを、医療と居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めるべきであると規定しています。
この取り組みの枠組みを”地域包括ケアシステム”と呼び、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるため行政・医療・介護による連携がおこなわれます。
地域包括ケアシステムの中で歯科に期待されることとしては以下の通り。

・生活支援・介護予防:歯周病予防・治療、オーラルフレイル予防
・医療:かかりつけ歯科医、訪問診療
・介護:自立度や介護力等を考慮した口腔保健指導

地域包括ケアシステムの構築を推進すべくできたのが「地域包括支援センター」です。地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーが配置されていて、介護だけでなく医療、福祉、健康など様々な相談の受付や情報提供を行います。

④居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は歯科医師や歯科衛生士が通院困難な者に対しておこなわれる療養上の指導や健康管理、アドバイスなどをおこなうことです。これら指導を行うと居宅療養管理指導料が発生します。その費用は自己負担1割(所得により変化)と残りが介護保険から支払われます。しかし、医療者の居宅療養管理指導は介護保険の上限額には影響せず、上限額までサービス利用があったとしても全額自己負担となることはありません。歯科医師は月2回、歯科衛生士は月4回まで算定が可能です。

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