全身状態の把握~意識~

患者本人と取り巻く環境の把握

意識とは、外界からの刺激に対して反応を示す脳の機能の総称です。そしてその反応を表出する機能が障害されたものが意識障害です。意識障害はその病態から認知症と混同されがちですが、原因や対処の方法が異なるため、しっかりと区別する必要があります。意識障害は脳の異常や中毒症状などが原因となり、急激に生じることも多くあります。一方で、認知症は一般的には緩やかな進行を示します。
数日間で急に反応がおかしくなった場合は意識障害が疑われます。意識の評価としてはJCSGCSが有名で、臨床でも用いられています。

JCS; Japan Coma Scaleは大項目で3段階、小項目で9段階の評価をおこないます。数字が大きいほど意識障害が強いです。大項目はⅠ・Ⅱ・Ⅲの数字で表され、それぞれⅠ:問いかけに返答がある、Ⅱ:刺激に対して目を開ける、Ⅲ:痛み刺激に対して何かしらの反応があるor全く反応が無い、と判断します。JCSの表現方法としてはⅠー1やⅡー30というふうに大項目と小項目の組み合わせで表します。

Ⅰ.刺激しなくても覚醒しているⅡ.刺激すると覚醒するが、刺激 
  をやめると眠り込むしなくて
  も覚醒している
Ⅲ.刺激しても覚醒しない
1.だいたい意識清明だが、    
  今ひとつはっきりしない
10.普通の呼びかけで容易に
   開眼する
100.痛み刺激に対して、払い
    のけるような動作をする
2.見当識障害がある20.大きな声や揺さぶりで開眼200.痛み刺激で少し手足を
    動かしたり、顔をしかめる
3.自分の名前、生年月日が
  言えない
30.痛み刺激を加えつつ呼び
   かけるとかろうじて開眼
300.痛み刺激に反応しない
Japan Coma Scale; JCS

GCS; Glasgow Coma ScaleはE(Eye)・V(Verbal)・M(Motorresponse)の3項目についてそれぞれ評価をおこないます。GCSの表現方法としてはE-4、V-5、M-6というふうに表します。

E.開眼V.言語反応M.運動反応
E4 自発的に開眼V5 時、場所、人がわかるM6 指示に従う
E3 呼びかけで開眼V4 時、場所、人があいまいM5 痛み刺激に手を持っていく
E2 痛み刺激で開眼V3 不適当な単語M4 痛み刺激に逃避行動
E1 開眼なしV2 理解不能な声M3 痛み刺激に異常屈曲反応
V1 声なしM2 痛み刺激に異常伸展反応
M1 痛み刺激に反応なし
Glasgow Coma Scale; GCS

JCSとGCSの共通点は以下の通り。

呼びかけや痛み刺激によって反応を確認する。

質問をおこなう

違う点は以下の通り。

JCSは数字が小さい方が、GCSは数字が大きい方が意識状態良好。

JCSは連続した評価だが、GCSは各項目は独立している。

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