全身状態の把握~栄養~

患者本人と取り巻く環境の把握

近年では歯科と栄養の関係が注目されています。歯科医院でも管理栄養士を雇用しているところも増えているほどです。口腔は栄養の入り口として大変重要な役割を担っており、歯科医療によって栄養状態が良くなることもしばしばあります。なので、歯科医療職種も治療の評価項目の一つとして栄養状態に目を向ける必要があります。ここでは実際の臨床でも簡便に扱える指標について紹介していきます。

①血液検査
アルブミン(Alb)総タンパク(TP)は体内のたんぱく質量を示す指標です。特にAlbは栄養失調の診断にも用いられるため、チェックすべき項目です。
Albは基準値3.8~5.3g/dlであり、3.5g/dlを下回るとかなり栄養が足りていないと判断されます。
また、Albは血球半減期が長いため、変動が緩やかです。なので、3週間ほど前の栄養状態を反映するため、今の栄養状態はさらに低下している可能性もあることが注意すべきポイントです。

②体重減少率・通常体重比
体重の変化率は栄養状態を把握する際には最も簡便で重要な指標となります。
体重減少率(%)=(通常体重ー現体重)÷通常体重×100
1週間で2%、1か月で5%、3か月で7.5%、6か月で10%以上減少すれば栄養障害と判別
通常体重比(%)=現体重÷通常体重×100
85~95%で軽度、75~85%で中等度、74%以下なら高度栄養障害と判定

③BMI; Body Mass Index
体重は重要な栄養指標ですが、その人の体重の数値だけでは栄養状態は分かりません。それは、体格について考慮されないからです。
BMI=体重(kg)÷身長(m)2  18.5未満が低体重と判定

④身体測定
体重は確かに便利な指標ですが、体重が測れない状況の場合には②や③が使えません。体重計は一人で立って計測するのが基本ですから一人で立てない人は体重が測れませんから。そこで、体重が測れない人でも使え、かつ簡単に計測が可能な方法も臨床では多用されています。特に下腿周囲長(CC)上腕周囲長(AC)上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)は良く使われている印象です。下の写真は下腿周囲長を計測している場面です。ふくらはぎ(下腿)の一番太い部分を計測します。

⑤栄養スクリーニング
低栄養の予兆を見逃さない様、日々の検査項目や質問から簡便に検査が出来るスクリーニングも存在します。
主観的包括的評価(SGA):病歴と身体検査の結果から栄養状態良好・中等度栄養不良・高度栄養不良を主観的に評価。
Mini Nutritional Assessment(MNA):18項目の質問に答え点数をつけることで、栄養状態良好・低栄養リスク・低栄養が判定できる。短縮版のMNA-SFもある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました