全身状態の把握~血圧~

患者本人と取り巻く環境の把握

血圧は血管を流れる血液が血管壁に与える圧を測定しています。基本的に末梢の血管に行くほど血圧は低くなります。高齢者の正常範囲は、診療時に140/90mmHg未満、家庭では135/85mmHg未満が良いとされています。

血圧=心拍出量×血管抵抗で決まります。なので、血圧が高くなる原因としては、以下のように覚えると分かりやすいです。

①心拍出量の増加:心臓から送られる血液の量が増加(肥満・塩分過剰)、
②血管抵抗の増加1:血管壁が硬くなる(加齢・長期の高血圧状態の結果)、
③血管抵抗の増加2:血管が狭くなる(タバコ・脂質異常症)

血圧が140/90mmHg以上になると高血圧と診断されます。高血圧は心臓の肥大や脳卒中など命に関わる病気に発展するリスクが高くなるため、血圧のコントロールが必要になります。
歯科治療中では緊張や痛み刺激は血圧を高める原因となります。血圧のコントロールが不良な患者に対しては、なるべく緊張を与えず、無痛での処置を心掛ける必要があります。また、歯科用局所麻酔薬にはアドレナリンが添加されており、末梢血管を収縮させ、血圧を上げる作用もあるため麻酔薬の選択も注意が必要です。
一方で急激な血圧の低下はめまいや失神などの症状が出現します。自律神経に障害がある場合では姿勢の変化で生じる起立性低血圧や食後の血流変化によって血圧が下がる食後低血圧などが存在します。
歯科では、ユニットチェアを水平位から座位に変化させた際に血圧の低下をきたした事例も報告があります。多系統萎縮症やギラン・バレー症候群などの自律神経症状が出る疾患においては体位変換も注意が必要です。

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