全身状態の把握~血液検査~

患者本人と取り巻く環境の把握

血液の成分を調べることで、体内で起こっている様々な異変を検知することができるため日常の臨床では非常に重要な検査です。しかしながら覚える項目も多いため、今回はテキスト(最新歯科衛生士教本 高齢者歯科第2版)に記載がある項目についてポイントのみを押さえて解説をしていきます。

①感染に関わる検査値
白血球数(WBC) 
基準値3.5~9.7×103/μL 高値で細菌感染、低値でウイルス感染が疑われる。低値では易感染性(感染症にかかりやすい状態)のため最新の注意が必要。
C反応性たんぱく(CRP)
基準値0.3mg/dl以下 炎症や組織障害の有無、程度、予後を反映する。高値で体内に炎症が生じていることを示す。

②血液凝固に関わる検査値
血小板数(Plt)
基準値は14.0~37.9×104/μL 低値では出血しやすく、特に5万を下回ると観血的処置(出血を伴う処置)は注意が必要。高値では血栓の形成リスクが高くなる。
プロトロンビン時間(PT) 
基準値は10~13秒 外因系凝固因子(Ⅹ、Ⅶ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ)の異常を調べる。高値では出血しやすく、低値では血栓形成リスクが高まる。                              プロトロンビン国際標準化比(PT-INR)                           正常PTと患者PTがどれくらい違うかの比率を示すもので、1.0に近い方が正常PTとの数値と大きく外れておらず良いが、数字が2.0や3.0になってくると患者PTの方が大きくなるため出血が止まりづらいことを表す。PT-INRはワーファリンの使用によって高値を示すようになる。

③肝機能に関わる検査値
AST(GOT)、ALT(GPT)
基準値はASTが10~40U/L、ALTが5~45U/L 肝細胞の破壊の有無を推定するもの 肝臓にダメージがあると高値を示す。
γ-GTP
基準値は男性で79U/L、女性で48U/L アルコール性肝障害や脂肪肝で高値を示す。

④腎機能に関わる検査値
血清クレアチニン(Cr)
基準値は男性で0.65~1.09mg/dl、女性で0.46~0.82mg/dl 腎臓の糸球体のろ過機能を反映する指標 クレアチニンは腎臓でろ過されて排出されるべきものなので高値で腎臓の機能低下を示す。
血中尿素窒素(BUN)
基準値は8~20mg/dl たんぱく質の代謝の結果出る老廃物。腎臓だけでなく肝臓や筋肉の状態によっても変化する。
推定腎糸球体ろ過量(eGFR)
基準値は60ml/分/1.73m2 多くの医療機関で使われている腎機能の指標。

⑤水分に関わる検査値
ナトリウム(Na)
基準値は135~145mEq/L 高値では水分不足、低値では水分過剰。
カリウム(K)
基準値は3.5~5.0mEq/L 下痢や嘔吐、利尿剤での尿量増加で低値を示す。
ヘマトクリット(Ht)
基準値は男性で40.4~51.9%、女性で34.3~45.2% 血液中の赤血球の割合を表す。脱水になると高値を示す。

血液検査に関しては重要な検査値はまだまだあります。ここに記載してあるもので十分という事ではないので、しっかりと成書にて勉強するようにしてください。

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