脳血管疾患

全身疾患への対応

脳血管疾患には脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血(クモ膜下出血含む)があります。脳梗塞・脳出血を合わせて脳卒中と呼ばれることもあります。その中でも脳梗塞は脳卒中全体の75%を占めます。脳卒中は脳の機能に障害が残ることも多く、介護の原因疾患の第2位となっています。
脳卒中の歯科的対応については以下の項目に気をつけて対応しましょう。

①発症時期
脳卒中は発症からの時期によって、発症から数日から数週間を急性期、数週間から6か月を回復期、6か月以降を維持期と分類されます。急性期は脳卒中を治療し、体の状態を安定させることに注力する時期です。この時期は体に負担のかかる歯科治療は緊急性のある場合以外はおこなわないようにし、誤嚥性肺炎予防の口腔ケアや経口摂取に向けた食べ物を使わない訓練などが歯科の介入のメインになります。

②後遺症
障害された血管の部位によって脳の機能も影響を受けます。代表的な後遺症としては片麻痺(左右いずれかの手足に麻痺が生じる)や嚥下障害、構音障害など。それらに配慮した診療の工夫や日々の口腔セルフケアの方法を患者に指導することが重要です。脳卒中の後遺症は一目見ただけでは分からない、いわゆる「見えない障害」があることも多く、周囲の理解が得られないケースもあります。周囲の理解が得られないことによって患者本人のイライラや悲しみの感情が大きくなっている場合は歯科として関わる場合にも注意が必要です。

③脳卒中を引き起こした要因
脳卒中の危険因子には高血圧や糖尿病、心房細動、慢性腎不全(CKD)などがあり、歯科治療をおこなう際はそれらへの配慮も必要です。

④診療室で発症した場合
脳卒中はいつどこで起こるか分かりません。診療室で起こる可能性もゼロではありませんので、その際に正しい対応をおこなうことでその人の命を救うことができます。脳卒中の発症で大事になってくる言葉にFASTというものがあります。Face(顔の麻痺)・Arm(腕の麻痺)・Speach(ことばの麻痺)・Time(発症時間)の頭文字をとってFASTです。診療室で突然これらの兆候が表れた場合はすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。

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