認知症の原因疾患について

全身疾患への対応

認知症とは病気の名前ではなく状態を表す言葉であると前回で説明しました。それでは、人はなぜ認知症になるのでしょう。認知症になる原因は非常に多くあります。

【認知症の原因疾患】

  • 神経変性疾患
  • 脳血管障害
  • 頭部外傷
  • 悪性腫瘍
  • 感染症
  • 代謝・栄養障害
  • 内分泌疾患
  • 中毒性疾患
  • その他

原因によっても様々な経過をたどるようになります。そしてなにより、原因によって治療法が変わってくるので、原因を把握することは重要です。しかし、認知症の診断の都合上、認知症という状態がまず診断され、その原因はそのあとに詳しく検査する必要があるため、実は原因が良くわかっていないけど認知症と診断されている患者さんも多くいます。

そんな中でも原因として多いとされているものがあります。国家試験でも出やすい部分ですのでぜひとも覚えましょう。

【4大認知症】

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レヴィー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

アルツハイマー型認知症は認知症の原因の中では最多で、皆さんが思い浮かぶ認知症のイメージはこのアルツハイマー型認知症になります。アルツハイマー病を原因とし、記憶障害や失行、失認などの認知機能障害が生じます。初期は記憶障害から始まり、”ものとられ妄想”などの行動心理症状(BPSD)が生じ、進行するにしたがって記憶以外の認知機能障害も顕著になります。重度になると身体機能にまで影響が及び、やがて寝たきりへと移行します。

脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血に起因して起こる認知症で、アルツハイマーに次いで2番目に多い原因です。この認知症の特徴は症状の出方にむらがある点(まだら認知症)にあります。例えばもの忘れは激しいのに、自身の仕事に関する専門的な会話はスムーズにできたりします。これは認知機能が総じて低下するアルツハイマーと違い、認知機能が選択的に障害されていくためと考えらています。また、日時によって認知機能の障害度合いも変化するのも特徴的です。さらに、症状の進行の仕方はアルツハイマーがなだらかな直線的な下降を示すのに対して、脳血管性は階段状の進行を示します。ある時は安定していたのにある時点で急に症状が悪化する感じです。

レヴィー小体型認知症は大脳皮質にレヴィー小体という異常物質が蓄積し、脳の機能を障害することで生じます。レヴィー小体型認知症は、日時によって症状に差が出る、パーキンソン病のような症状が出現する、自律神経症状(便秘、失禁、胃腸機能低下など)が生じることがあるといった特徴があります。

前頭側頭型認知症は前頭側頭葉変性症を原因とする認知症です。前の3つと比較してもかなり特徴的な認知症で、前頭葉の機能が低下することによっておこる前頭葉症状がメインとなります。症状としては自発性の低下や脱抑制(本能の赴くままの行動)、常同行動(決まった行動を決まった時間におこなう)、食嗜好の変化・固定化(甘いものしか食べない、過食)などがあります。

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