通院困難者への歯科治療

訪問診療

前回は歯科訪問診療の定義やルールについて記載しましたが、今回は訪問診療ではどんなことが行われているかを説明していきます。

訪問診療と外来診療の大きな違いは「環境」と「患者特性」です。

環境」は診療の場所についてです。外来診療であれば清潔に保たれた診療室で、滅菌された器具をふんだんに使用することができます。一方で、訪問診療だと、患者さんの家や施設に我々が機材を持っていき治療するスタイルです。この違いから、周囲の清潔さが必要となる外科的処置(インプラント埋入など)特殊な器具が必要な処置(マイクロスコープを使った根管治療など)は訪問ではできません。

患者特性」は患者さんの全身状態や患者さんを支える家族や介助者にまつわることです。もし、患者さんが抱えるご病気の状態が安定しており、本人に歯科治療を受ける意思があり、周囲の協力も得られる状況であれば、外来で行われている一般治療は大概が実施可能です。かたや、患者さんの病気が状態が悪く、歯科治療どころではないとなるとできる処置は最小限になります。多い例としては、心臓の状態が悪く、抗血栓薬のコントロールも悪く抜歯ができないといったものです。また、認知症が悪化し、歯科治療への協力が得られない場合もできる処置が限られてしまいます。

訪問診療で大事なのは、「環境」と「患者特性」のバランスを考慮して治療計画を立てることにあります。

さて、環境が整い、患者さんが許す状態であれば、外来とほぼ変わらない処置ができると書きましたが、それを可能にするのが持ち運べる機材の存在です。ポータブルユニットポータブルエンジンデンタル撮影装置など、いまやこれらの機材が無いと訪問診療ができない状況にあります。写真は在宅でのスケーリングの風景です。場所は患者さんの家のダイニングです。生活感にあふれていますが、このような場所で治療が行われるのは訪問診療では日常です。

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